真夜中のアリス

ここからは今度こそあたしひとりになるものだと思い込んでいて、ウサギを見送ってから前に進もうと思っていた。

「へ…?」

「“彼”を捜すのでしょう?いつまで座り込んでいるの?」

だからこそウサギの言葉に思わず拍子抜けしてしまい、きっと口も開き切って何とも情けない表情をしていることだろう。そして力無く言葉を吐く。

「…一緒にいていいの?あたしと一緒にだったら女王さまに首切られるんじゃ…」

「事情を話せばきっと、女王さまもわかってくださる。それに、アリスをひとりにしたらまた泣いちゃいそうだもの、置いてなんかいけないよ」

あの人と同じように同じような事を語るものだから、ウサギの中にあの人の影が見えた気がした。

「…ありがとうウサギ。これからよろしくね」
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