真夜中のアリス
ウサギと約束を記憶から除外させて、無意識のまま宛もなく走り出した。
間違える筈がない。だってその香りはあの人の香り。最後の最期まで、何時もあの人が纏っていた優しい金木犀の香り。あの人にと、あたしが贈ったものだから。
だから、絶対近くにいる。
絶対探し出してみせる!
もう一度、もう一度あの人に会うんだ!
そう、願望に取り憑かれ全身は意識に支配され盲目的に一心不乱に足を動かす。
夜は、闇は、近い。