【続】興味があるなら恋をしよう
「パスポートの事は大事です。今すぐ確認します。電話します。
間に合わなかったら大変ですから」

「ん、今?今は…駄目だ。
…優先順位は、…こっちだ…チュ」

あ…。そうだった。
…とても、電話なんて…無理な状況になりつつあった。

「紬…あっちに行ったら、拓朗を…紹介するよ。
葵の旦那で…俺の…悪友だ」

「は、い。あの、ぁ、ご両親の、ご職業って…」

確か、雑貨屋さんだとか、部長はチラッと言ってたと思うんだけど…。

「ん、…ああ、輸入雑貨屋って言うのかなぁ。
家具とかインテリアとか、雑貨?そんな店をしている」

え?

「あの、ん…もしかして、お店は、あの『Ichijyo』、だったりします?」

「ん、ああ、…それ、…だ」

…。はぁー…、うっ、そ。
いやー…。何?この人、誰?
今更ながら…何ー!?

「ぁ、そうなん、ん、…です、ね…」

…。

「ん?…どうした?よく無いか?」

え゙?え゙ー、…ど、どっちの事?
今のこの状況で聞かれると…非常に困る。
え〜と、この場合、返事をしないと、どっちになるんだっけ?
返事、しなくていい、かな。
ゆっくり首を振って誤魔化してみよう。

「わっ、…擽ったい。…紬、…止めろ…」

抱き込まれてしまった。

「はぁ、ヤバイ…、ゾクゾクした…」

そんなつもりでは…。あっ。

「お返しだ。ここ…、弱いだろ」

う、確かに。耳の下の首は弱い中の弱いところです。
そこに唇で触れられては…。

「休みの申請は俺がするから、大丈夫だ。
…一緒に行こうな」

「は…い…」

「よ〜し…」

あ、え?…またぁ?どっちの事だったの?

返事、もうしちゃったし。

ぁ…。
……こっち?の事だったの?
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