【続】興味があるなら恋をしよう
ふぅ、終わった。

「紬、ごめん、待たせたな。話って?」

「部長」

「別にいいんだけど、匠にしてくれないか?
仕事の話かな?」

「いいえ。匠さん」

「ん?」

「ずっと、私としたいですか?」

ブーッ。

…。

「紬…。いきなり、らしくない事を」

飲みかけの珈琲に口を付けるんじゃなかった…。
俺とした事が、取り乱してしまったじゃないか。
それとも…聞き間違いか?

「いつもしたいですか?」

「そりゃあ…」

…あの事だよな。聞き間違いじゃないよな。

「したいですか?」

「うん…そうだな…」

したい俺は、責められてるのか?

「子供は、まだ欲しく無いですよね?」

「うん、…そうだなぁ。
出来ればまだ当分二人で居たいと思っている」

「解りました。話はそれだけです」

「あ、おい、紬、どうしたんだ?」

俺の…いつもしたいってだけの確認か?

「…婦人科で、お薬を貰おうかと思ったんです。
ずっと飲んでいたら、妊娠の心配が無いから。
そしたら、匠さん、…色々気にせず…出来るのかなって…」

「紬…どうしたんだ、そんな事…」

「ずっと考えていたんです。どうしたら、匠さん、…」

「紬…。ピルの事か?」

「はい」

「…副作用だって全く無い訳じゃないんだろ?」

「人によると思います。
最近の物はそれ程では無いかと」

「気持ちだけ、貰っておくよ。…紬には不向きだよ、そんな事」

「え…でも、そうしておけば、匠さん、煩わしくなくて済みますよ?」

…一々、する度…って事だろ?

「そうだな。
でもいいんだ、今のままで。
それは、紬の方が煩わしい目に合う。
紬はそそっかしい。飲み忘れる恐れがある。
毎日薬の事を気にしていないといけなくなる。
考えて見てごらん?
しんどいだろ?
だからという訳じゃないけど、俺は今のままでいいよ」
< 136 / 140 >

この作品をシェア

pagetop