【続】興味があるなら恋をしよう
紬は何も知りません。
しんちゃんの事は、普通に、近所の…私の幼なじみでクリニックの先生だと思っています。

いつか、親の事で何か疑問に思うような事が出来た時、紬が知りたいと望んだなら、貴方から教えてやってくれますか?
こんな事を言付けてしまって…ごめんなさいね。

事実を知った時、優しいお父さんの事を裏切った、酷い母親だと思うかも知れない。
もしかしたら、紬が自分自身の事を悍ましいと思ってしまうかも知れない。

…でも、…紬は大事な、私と夫の子なんだと。
夫の大事な娘なんだと。

紬を妊娠した事を後悔したなんて一度も思った事はありません。
…大切な人との大事な大事な子なんです。

妊娠が解って…不安でした。この妊娠は、優しく包んで、愛してくれている夫への裏切りです。
…でも、嬉しかった。

…夫の妻としてでは無く、女としての自分、…我を通してしまった。

罪は私にあります。
夫を裏切ってしまったのですから。
甘えてしまいました。
夫に…しんちゃんに。

…私を思ってくれる人に、解っていて…我が儘になってしまいました。

しんちゃんとは、今は、昔の…小さかった頃の幼なじみのように付き合っています。
でも、…内面は誰にも解りません。

業というモノは、いくつになってもあります。

しんちゃんは、うちの事、私と紬の事は何でも解ります。
話さなくても、解っている事もあります。
感覚で感じ取ってくれる、ずっとそんな人です。

何かあった時は、坂本さん、貴方から紬に話してやってくれますか?
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