【続】興味があるなら恋をしよう

ブー、ブー…。

「葵だ」

紬に聞こえるように呟いた。

【匠〜、里緒がパパに会いたいって言ってるの。休みで時間ある時ある?無理?】

【時間、無いことはないけど。そっちに行った方がいいのか?】

【出来たら連れ出して欲しい(笑)たまには一人になりた〜い。正確には二人か(笑)】

全く…。安定して来たのはいいけど…。ずっと二人でってのは正直、中々しんどいよな。息抜きも必要だ。
本当に里緒が会いたいって言ってるんだかどうだか…。里緒を利用してるんだろう。
葵は上手く言うからな。

【俺が里緒を迎えに行くよ。そうだな…。葵は土曜と日曜どっちがいいんだ?】

【どっちも】

は?

【それ、どっちでも、の間違いだろ?】

【バレたか】

…あわよくば泊りで二日って企んでたな。

【で、どっちでもいいのか?】

【任せる】

【また連絡入れる。あんまり長い時間は無理だ。2、3時間だぞ】

【え〜。冷たくない?前はずっと居たじゃない】

【比べるな。完全に預かって生活するのは長くて当たり前だろ。遊ぶ為に預かるなら充分だろ?】

【解った~。連絡待ってる】

【了解】

……ふぅ。…。

「紬?里緒に会ってみるか?」

「え?」

りおって…課長の姪の、よね。

「あっちが恥ずかしがるかも知れないけど、今度の休みに2、3時間くらい、まあ、半日だな。預かる事になったんだ」

「は、い…」

「…嫌だったらいいぞ。俺が連れてどっかに行くから」

え?

「あ、嫌とか、そんな事はないです。ちょっと、思い出していたので」

「あぁ…」

「里緒ちゃんは何が好きですかね。お昼ご飯はオムライスとか、おやつはプリンとかで、大丈夫ですかね」

「うん、どっちも好きだ。じゃあ、ここで遊ばせてもいいか?」

「はい、勿論です。私なんかに確認は要らないですよ?」

…。

「じゃあ、昼前から預かって、夕方早めに送って行く事にするよ。…悪いな」

え?…悪いな、なんて。

「そんな事ないです」

他人行儀な事…。

「…DVDでも観るかな。そしたら、あっという間に時間も過ぎるし」

返事の仕方が変だったから…私があまり気が進まないと誤解されたみたい。…きっと、そんな風に見える表情もしてしまったのだろう。
それは、あの時のショックを思い出したからなのに…。
< 48 / 140 >

この作品をシェア

pagetop