【続】興味があるなら恋をしよう
☆、★★
「課長、今月の月末の二日間、土日ですけど、自分の部屋に居たいと思います。
いいですか?」

…。

「ちゃんと終わらせて来ます」

「…帰って来るんだな?」

「はい。帰って来ます」

「解った」

「有難うございます」


まだ自分の中では自分が解っていない。
顔を見たら…解らない。
でも流される事は無いと思う。

ズルイ女は賢い女なのか、と言う言い方をしたかった訳じゃなかった。
ずる賢い女は悪い女かと、言いたかったのだ。

メールの返事は直ぐには返って来なかった。
気が付かなかった訳じゃないと思う。冷静に判断してくれた。
きっと私の立場というか、状況を推測してくれたのだと思った。

課長と一緒に居る私に早朝にメールを返してはいけない。着信を知られてしまうかも知れない。メールを見るという、その行為に、困る事が無いようにしてくれたのだと思った。
私は一人で居る訳では無いから。傍には課長がいつも居る。


月曜の朝は、坂本さんが後ろから駆けて来る事は無かった。
その代わりとでもいうように、歩いて会社に向かっていたらメールが来た。

【お〜い、藍原。ハァ、ハァ(笑)。おはよう。
デートの日時は無い。俺は会社に来ている以外、俺の部屋で藍原を待っている。それが待ち合わせだ】

そして、その後に私の早朝に送った質問メールの返事があった。

私はシアンの意味、試案、思案、私案…、を言われてからずっと考え続けていた。
そして金曜の仕事が終わったら、自分の部屋に行くことを決めた。

課長には土日だと伝えていた事を忘れていた。
坂本さんに会う事は言わなかった。
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