【続】興味があるなら恋をしよう
「よっ、藍原」

「…おはようございます」

「仕事ではずっと藍原なんだよな」

「はい。変わらずですよって、言ったじゃないですか」

「おう…」

あれから…、かなり経った。
何も変わらない。

坂本さんとは以前のような付き合いに戻っている。
違和感は、やっぱり無い。

「今日は朝ご飯食べたんですか?」

「おう、フレンチトースト、作ったぞ」

「あー、いいですね。カフェラテに…」

「はちみつだ」

それ!互いに指を指した。

「はい、そこー。仕事しろ、仕事」

…だー、全く。
俺に妬かさせるんじゃ無い。
これで俺が部長になって、この部屋を離れたらどうなる?
外回りだった坂本が課長になる予定だし。
今まで以上に接触する機会が増えるじゃないか。
…部長の席、この一角に移動しようかな。
うん、言ってみよう。

まだ俺の部長の話も坂本の課長話も、内々のものだ。
知っているのは当事者と上の者だけだ。

仕事そっち退けで見張らないといけないと思うと、気が気じゃないな。
まあ、仲がいいだけで、もう…何もないんだけどな。

カタ、ン。

ん?なんだ?どうした、誰だ?

「課長ー!…藍原さんが」

「何?」

慌てて駆け寄った。
…また、坂本が受け止めたのか。

「坂本、後は俺が。有難う。仕事に戻ってくれ」

「…はい」

藍原、どうした…。


医務室に運んでベッドに寝かせた。
…また貧血かな。
だとしたら…俺のせいか…、はぁ。

先生の診察を待っていた。


「一条課長」

「あ、はい」

「はっきりとは、詳しい検査をしてみないとまだ解りませんが」

「…はい」

何…もしかして重い病気なのか?

「解りませんが、極々初期かも知れませんが、妊娠されてる可能性もあるかも知れませんね。身に覚えは?」

「え、妊娠。…妊娠?!」

身に覚え?
< 86 / 140 >

この作品をシェア

pagetop