プロポーズはサプライズで
「……探さなきゃ」
公演のラストはハッピーエンドだ。
でも明日美がもし最後まで観てなければ、あの物語の中に“三笠くんからの不信”を感じてしまうのかもしれない。
もし、明日美がこれで三笠くんとうまく行かなくなったら、そもそも最初にプロポーズを保留にさせてしまった私のせいじゃない。
走り回って再び七階へ戻ってきた。会場をちらりと覗くと、もう幕は下りたようだけど、舞台監督さんが何やら挨拶しているらしい。
「あ、いたいた」
ポンと肩を叩かれる。
振り向くと、三笠くんファンの三人組の中の一人、私たちに嫌味を言ってのけたあの美人さんが立っていた。
「あなた」
「お友達、探してるんでしょ?」
にっこり笑われたのに、ぞっとした。彼女は笑みをたたえたまま、私を舐めるように見る。
「知ってるの?」
「うん。知ってるわよ。あんな平凡なくせに、三笠さんの彼女なんでしょ? 邪魔だよねぇ。いなくなっちゃえばいいのに」
「明日美はどこにいるの?」
「さあ、どこでしょう。いいじゃない、いなくなったって。あなたもその方がよくない?」
楽しそうに笑う彼女に、身震いがした。
人がいなくなって良いわけないでしょうが。
彼女は、私をさげすむような目で見つめる。
「分かってるのよ、私。あなたも、三笠さんのファンでしょ。あの子が邪魔って思わなかった? 彼はみんなのモノよ。誰かのモノになんてなっちゃいけないと思う。ずーっと私たちのヒーローでいてくれないと」