天神学園の問題児再来
チラリと、傍らに立つ水着姿の少女を一瞥。

その後、言い難そうに。

「……あ……紫陽花に気安く触れるな」

真太郎は絞り出すように口にした。

耳が赤いように見えるのは、気のせいか。

「ち、違うんだよ真太郎君!シオン君のは挨拶っていうか、友情の証っていうか、ボディタッチってゆーのかなっ、えっちい意味じゃなくてねっ」

まずい、喧嘩になる。

そう判断したのか、慌てて弁解する紫陽花。

だが。

「お、おぅ…悪ィ…気を付ける」

意外にも、シオンが折れた。

彼も、誰彼構わず破廉恥属性を発揮する訳ではない。

『この子には他に大切な人がいる』

そう判断すれば、その娘には指一本触れない。

そのくらいの思慮深さは持ち合わせている。

そして真太郎にとって、紫陽花は『そうなのだ』と。

頭ではなく、心で理解したといった所か。

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