天神学園の問題児再来
極意・斬鉄の前段階、斬岩習得。

残すは斬鉄のみとなりながらも、真太郎は苦戦する。

汗だくになりながら狂奏丸を振るう日々は、この橘リゾートに訪れてから1日も怠っていない。

父・瑠璃も斬鉄をものにしたのは夏休みの間だったと聞く。

ならば己もと励むものの、思うように成果は出なかった。

「……」

あの事が、真太郎の心に影を落とすのか。

へし折れ、宙を舞った陸奥守を見る龍馬の表情が、胸をよぎる。

決して憎い相手ではない。

寧ろ最近では実力を認め始め、共に切磋琢磨する好敵手であった。

剣を交える事で、お互いを高みに押し上げられる戦友であると。

しかし、そんな友の愛刀を折ってしまった。

気に病む事ではない。

戦場に立つ侍として、戦いの際には刀折れ、矢尽きる事もあろう。

なのに、気落ちする龍馬の姿が気になって、修行に集中できない。

< 483 / 1,120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop