天神学園の問題児再来
全く、この女は…。

柾一刀流開祖・柾 鳳仙花の娘でありながら、夕城流の剣客である真太郎の極意習得を手放しで喜ぶ。

何処までも風変わりで、何処までもお人好し。

しかし彼女が甲斐甲斐しく真太郎の身の回りの世話をしてくれたお陰で、修行に励む事が出来たのも事実。

「お前にも感謝しなければならんな、紫陽花」

「な、なになに、急にそんな事言われたら恥ずかしいよ、真太郎君」

柄にもなく頬を染めて照れる紫陽花。

普段からヒモビキニの癖に、こういうシチュエーションには照れがあるようで。

「み、みんなのとこに戻ろうよ！きっと斬鉄習得の事知ったら、お祝いしてくれるよ！」

「…そうだな」

先に浜辺の方へと駆けていく紫陽花の後を、ゆっくりと追う真太郎。

一匹狼、誰とも群れぬと決めて天神学園にやって来た彼が、今や紫陽花の助けを借りながら極意の習得に勤しみ、その成功を祝う仲間のもとに戻ろうとしている。

夕城流を破門され、跡取りとしての立場を追われ、住む場所さえなくなっていた孤独な真太郎が。

（変われば変わるものだ…）

1人ほくそ笑みながら歩いていた彼は。

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