天神学園の問題児再来
随分と寄り道をした。

本題に戻ろう。

二挺拳銃を捨て、ヴラドはいまや丸腰。

…いや、銘刀にも劣らぬ牙がある。

一咬みすれば、その衝撃で骨すら砕くような牙が。

対する真太郎にも牙がある。

川蝉と狂奏丸という牙。

どちらの牙が、先に相手を仕留めるか。

二刀を構える真太郎、牙を噛み締めるヴラド。

限界まで引き絞った己の肉体を。

「「行くぞっっっっ!」」

放たれた弓矢のように、解き放つ!

真太郎の紅葬送、ヴラドの牙!

心臓目掛けて放たれた二刀の切っ先は、見事にヴラドの胸を貫く!

が、僅かに身を捩ったヴラド。

残念ながら、心臓からは外れている!

「とったぞ夕城!」

牙を突き立てようと、真太郎の首筋に食らいついたヴラドは。

「まだだっっっ!」

刺さった切っ先が横薙ぎに変換され、傷口を切り開いた事で、思わず喀血と共に牙を放してしまう。

真太郎は致命傷には至らず。

代わりに。

「か…は…」

遂に限界に到達したのか。

真太郎に最後まで縋り付くようにしながら、ヴラドはリングに沈む。

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