天神学園の問題児再来
形振り構わずとは、まさにこの事か。

正直醜態。

しかし、衆目に晒される事を厭わず、最後の瞬間まで真太郎に肉薄したヴラド。

恥じているだろう。

花龍の前で、血みどろのまましがみ付いてまで勝とうとしながら、結局立っていられなかった己を。

無様に血の海に沈んだ。

吸血鬼に似合いの敗北と、自嘲しているだろうか。

「何が無様なものか」

真太郎は二刀を納め、ヴラドに肩を貸す。

真っ直ぐに、花龍のもとへ。

「早川、ヴラ…「任せて、真太郎君!」

言い終わる前に、花龍はヴラドの大柄な体を、無理をして受け取った。

制服に返り血がつくのを厭わず、風の精霊シルフで懸命の治療。

観客達も、ざわざわと心配そうにその様子を見守る。

…真太郎は目を細めた。

「何が無様なものか。ヴラド殿、貴方はこんなにも慕われる、天神の王だ」

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