恋する5秒前~無愛想なキミと~

「いや、これ、すげぇキレイだもん。俺、大事に飾っておくよ。ありがと、姉ちゃん」


「うん。そうしてくれるとお姉ちゃんも嬉しいよ」


翔と笑い会う。


翔が喜んでくれた。迷ったけれど、買ってきて良かったぁ。


「未来には、これ……ね」


テーブルに伏せたままの彼女の横に紙袋をそっと置いた。


「朝から機嫌が悪いんだって、どうしちゃったの?」


私が声を掛けても反応しない。


どうしたものかと考えてると


「姉ちゃんの彼氏を見てから未来のヤツずっと機嫌が悪いんだよ」


見かねた翔が口を挟む。すると


「どうしてあのお兄ちゃんがタマちゃんの彼氏なの?どうしてっ?」


不意に顔を上げた未来が私に不満をぶちまけた。


「どうしてって、瀬戸君は私の事が好きだって言ってくれたから」


「ふーん、それでタマちゃんの彼氏になったんだ」


「そうだよ。私のことを好きだと言ってくれて嬉しかったんだよ。だから付き合うことにしたの」


「……」


未来は黙ったまま疑うような目つきで私のことを見つめている。


「瀬戸君はとても優しくて王子様みたいにカッコいいんだよ。今度未来も水族館へ連れて行ってあげたいって言ってたよ」


「いい、未来、行きたくない」


そう言うと未来は頬をぷくっと膨らませた。

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