恋する５秒前～無愛想なキミと～

だけど、あの日。


桜井君と偶然ぶつかってケガをした時から、私は桜井君の色んな顔を知ることになったんだ。


私の家に来て一緒に晩ごはんを食べたり。


未来や翔と一緒に遊んでいる姿を見たり。


ゴキブリをやっつける私を見て驚いた顔をしていたり。


花火大会でいなくなった未来達を捜していた私を助けてくれたっけ。


樹里さんから聞いた噂話は衝撃的だったな。


樹里さんを庇う桜井君の優しさに胸がチクッと痛んだり。


いつの間にか彼に対する偏見もなくなっていった。


彼の新たな一面を知る度に芽生えたある感情。


戸惑いながらも溢れるその感情に思い悩む日々を過ごしていた。


そして、意外な人から告白されて私は全校生徒の注目の的になってしまった。


もしもあの日、瀬戸君からの告白を断っていたら、状況は変わっていたのかな？


それとも、なにも変わらないのかな？


今日の球技大会で応援していて、改めて気づかされたんだ。


自分の気持ちに決着をつけなくちゃいけない時が来たことを。