きみのためのプレゼント
「な、何言ってるの。俺は、最初からもう一度入れ替わるつもりだった。君を歩行困難の足のままにするつもりなんてなかった。俺はただ、君に・・・」


「私のためじゃない。その足を持て余してるだけでしょ?ねぇ、お願い。これ以上失望させないで。あなたが私の足で何か目標を持ってそれを叶えるまで私はもうあなたと話したくない」


翔平は、私の話に「わかった」とだけ言って、帰りだけは送らせてほしいと私を車椅子に乗せて、黙って家まで押して帰ってくれた。


夏休みでよかった。
次に翔平に会うのは少なくとも新学期。


それまでに気持ちの整理をしよう。ナナのこと、これからのこと。そして、翔平のこと。



「これだけは、言わせて。八月七日だから【ハナちゃん】だよね?お誕生日おめでとう」



一番、欲しいと思っていた翔平からの「おめでとう」はあまりにも切なくて、苦しくて辛いものになってしまった。
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