きみのためのプレゼント
毎日、どんなに辛い練習だって励んできた。でも、そんなの無意味だというようにタイムは落ちる。


そして、私が小馬鹿にしていた同じ学年の子が去年の私の場所を掴み取った。


悔しかった。本当なら私の方が速い。
あの場所に立つのは私なのに。


毎日、楽しくない。どうして、こんなに努力しているのに報われないの。


もう、走りたくない。
走れなくなれればいいのに。



百メートルを十本走り終えたときだった。視線を感じたのは。ああ、またか。そう思いながらも見られていることに苛立ち、その視線の先をキッと睨みつける。



藤本翔平。隣のクラスの男子で特別な接点はない。ただ、他人なんて興味のない私ですら彼を知っているのは、彼が有名だからだった。


彼は、車椅子に乗っている。


だから、この高校で彼のことを知らない人間はいない。


元々、浦賀高校は女子校で、私の代から共学になった。


そのため、男子トイレなどを作る時にエレベーターも作られ、彼のように車椅子の人間も受け入れられるようになった。


それと、私が彼を知っているのにはもうひとつ、理由がある。


それは、彼が私の嫌いなタイプだからだ。
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