オレンジジュース
急げ、急げ。
心が私を急かす。
待ってた。ずっと、ずっと。
大好きなあの人の新しい本。
私は走った。いつもは体育なんて大嫌いでさぼるのに。このときは、全力疾走。
どきどきした。走っているせいでなのか、嬉しくてなのかわからなかったけど。
汗にまみれて、目的の本屋さんに入ると冷えた空気が私を包んだ。
ひんやりとした空気が心地良い。
周りを見渡して、本を探す。
新刊なので、きっとすぐ見つかる場所にあるはずなのだが。
店の奥に少し進み、単行本のコーナーに向かう。
本は発売されるとき、大きいサイズの単行本でまず発売される。
小さいサイズの本、いわゆる文庫本になるのはしばらくたってからだ。
私はあの手に取った時の重みとカバーの手触りがたまらなく好きだ。なので、好きな作家さんの本は必ず単行本で買う。
単行本のコーナーに行くと、一番手前に新刊が積まれていた。
あの人の名前を探す。
森…、森…、
あれ?ないなぁ
他の今日発売の新刊は並んでいるのに。
もう、売れちゃったのかな。





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