俺様上司に、跪いて愛を乞え
水族館から、道なりにあった海辺のレストランに入った。

海側のテラス席に着くと、

海風に弄ばれる髪から覗くクールな眼差しに、食事を運ぶ薄く形のいい唇が艶っぽく、美形な、

新藤部長の姿は、嫌でも周りの視線を集めた。


「カッコいい…あの人」

「すごい、イケてるんだけど…」

「イイ男だよね…ホントに」


入ってくる周囲の声に、なんだかふつふつと嫉妬心がわき上がる。

「もう、帰りたいです…」

言うと、

「うん…? もういいのか?」

と、不思議そうに訊かれた。

だって、みんなが見てるから…とも、言えなくて、「帰りたいです…もう」と、ただ同じようにくり返した。
< 115 / 131 >

この作品をシェア

pagetop