腹黒エリートが甘くてズルいんです
あの旦那さんが羨ましいんじゃなくて、居場所を見つけたサユミが羨ましかった。

誰かに分かりやすく必要とされ、お腹には赤ちゃんもいて。

32歳で付き合ってたったの3ヶ月でデキ婚した、なんて事は、きっとすぐにどうでもよくなる。本人も、回りの人も。

サユミは、33歳の誕生日も、44歳の誕生日も、どーんと構えていればいい。年を取ることなんてきっと怖くない。


高い美容クリームを買えなくても、そこにお金をかけるくらいなら家族で美味しいご飯を食べたり、子供に服を買ったりするんだ。

……いや。サユミがどういうタイプかは知らないけど、あたしはそうだ。


あたしなら、家族の幸せを第一に願う、いいお母さんになるのに。


一気に思い詰め、はぁとため息をつく。
スマホはまだ朝の四時を示していて、もう一度寝ようと目を閉じる。
だけど、気持ちが昂ってしまい、全然寝付けない。
ごろりごろりと無駄に寝返りを打ちながら後悔の嵐。

あーあ。なんであたし結局二次会まで行っちゃったんだろう。
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