腹黒エリートが甘くてズルいんです
「そんなにあたしをバカにして楽しい? 今度は趣向を変えて別のイケメンに迫らせる、と。皆の前で告白させて、キョドる女は滑稽だもんね?」


怒りで肩が震えてくる。
酒井くんが、今度ははっきりと分かるくらい困った顔をする。

「……あれは、本当に悪かった。暇潰しだとかなんとか、そんなこと、もう、しねぇよ……」


力なく、呟くように言う。
『本当に悪かった』と思うなら、どうしてまだ、こんなことをするのだろう。


「してるじゃん。いいよ、わかったよ。それ認めたらゲームが、面白くならないんだもんね? いい。あたし、菅生さんに吐かせるから」


「だからもう、ゲームなんてしてないってのに……あいつに、なにを聞くわけ?」


この期に及んでそんなことを言い放つ酒井くんの根性には感服する。
また裏で手を回して、巧妙にこんなことを仕組んで。
指輪をわざわざ買って、既婚者のふりをするような人にあたしが何回も騙されて傷つくと思ったら大間違いなんだから。
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