腹黒エリートが甘くてズルいんです
「あの、もう大丈夫ですよ」


「……なにが? あれ、やっぱ酔ってたの? 大丈夫?」


ふわり、と菅生さんに纏う香りが鼻をついた……と思ったら、抱き締められていた。
あたしの頬の辺りに菅生さんの顎が当たっている。密着してるよね?

ん? なんで?

いや、ここ、国道沿いですし。夜も更けているとはいえ、人も通るかもしれないし。車はわりとバンバン通っていきますし。


……じゃなくて、じゃなくて。もう演技なんかいいんだってば。
あたしを狙うふふりは、もうしなくていいんだから。

慌てて、身体を引き剥がす。


「いや、だからもう、大丈夫です!!」


声も少し荒げてしまいつつ、ここに来てまで演技をする菅生さんに、酒井くんにも似た怒りを覚える。


「なにが?」


身体は離したものの、両腕をガッチリ捕まれて、向かい合った形のままで会話をするというこの困った状況。
なにが、と言われましても、はっきり説明するのも、こっちのプライドがえぐられるんですけど。
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