腹黒エリートが甘くてズルいんです
あたしの結構本気の訴えを聞いて、菅生さんがゲラゲラ笑い出す。


「何言ってんの、莉緒ちゃん。こんなに明確な『合意の上』は、無いでしょ? 今日一緒に飲んでた全員が俺達の、『合意』を証明してくれるよ」


「……!」


悔しくて涙が出そうになる。
確かに。
確かに、あたしは、菅生さんにみんなの前で『狙う』と言われたのに、ついてきた。
でもそれは勿論菅生さんが酒井くんに頼まれてあたしを騙すために演技をしているからと思ったからであって……ああでもそんなこと今更どうにもならない。


「お待たせしましたー」


車のエンジン音が近づいてきて横で停まり、カチャ、とタクシーのドアが自動で開く。


もうだめだ。


何だかもう、この世の終わりのような気持ちと共に身体の力が抜ける。
菅生さんに身体を委ねたような状態になる。

コツ、コツ、コツ


菅生さんの靴の音が響く。

このタクシーに担ぎ込まれて、テキトーなラブホに連れ込まれてヤられるんだ。

おしまいだ。
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