腹黒エリートが甘くてズルいんです
話の行く末が見えず、思わず怪訝な顔をしてしまった。


渋い顔で立ち尽くすあたしを見て、先輩が慌てて駆け寄ってくる。


「いや、あのさ、実はさー、松永物産の本社の受付にすげー今、気になる子がいるんだよ、俺」


……はい??
さっきよりも更に話が全く見えません。


「……はぁ」


とりあえず、聞くしかないので耳を傾ける。


「いざとなるとフットワークの軽さが売りの俺でも動けなくてさー、そしたらお前が松永物産との太いパイプになることが発覚してさー、頼む、飲み会セッティングして! 俺あとは自力で何とかするから。とりあえず飲みの場さえ整えばあとは何とかなると思うんだよ!」


どーーーーーーーん。

そんな擬音が脳内に響き、後ろに倒れるような感覚に襲われ、目眩を感じる。


バカみたいバカみたい、あたし!!


何が『友達からでもいいかな』『70点』だよ! 恥ずかしい。恥ずかしすぎて涙が出そう。


「……莉緒っち?」


心配そうに先輩があたしの顔を覗きこむ。
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