金魚の見る夢
「で、結局真相は闇の中、残ったのは灰と骨と奈々の居ない毎日。」

トロリとした目で呟いた真奈美は、追加した焼酎をクイと飲む。

奈々と云うのが死んだ女優の名前だ。

星河奈々。

まあAVっぽい名前だと思う鈴里みづきです。

「妊娠してたって本当かな。」

相澤は、ウイスキーに泳ぐ氷をカラリと奏でる。

私は彼らにも真相は話せないでいる。

「まっ、今日は楽しい美しい思い出で。」

そんな言葉でお茶を濁す私は意外とコトナカレ主義。

「後二本で契約切れるから田舎に引っ越すっていってたな。」

しんみり真奈美。

因みに田舎は故郷じゃ無くて山間の閑かな土地の意。

我々が故郷に帰って飾られるのは錦じゃなく、好奇と嘲りだから。

自意識過剰かも知れないけれど。

私は梅酒のグラスをグイと開ける。

「梅酒追加、それと若鶏たたきオーダー!」

エイと呼び鈴を押す。

今日は飲もう!!!

って毎日飲んでますが何か?
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