金魚の見る夢


「駿河監督ですよね、どうして?」

真奈美は私と相澤を交互に見る。

「俺は昔の同僚だけど。」

「まあ座って下さい。」

相澤は、真奈美の誘導で私の隣に座る監督を不思議そうに見ている。

「鈴里さんとは、雑誌の対談で知り合いまして。」

監督は頭をポリポリ。

「まあ、そんな所で。」

私も頭をポリポリ。

「飲み物は?」

私の問いに監督は取り敢えずビールと答える。

「『蒼い魚』見ました、何だろう、綺麗でした。」

真奈美、話題をスライド。

「有り難うございます、鈴里さんにもそう言って貰いました、やはり僕の作品の中では『蒼い魚』がまだ有名な方ですかね?」

監督、妙に真剣な表情。

「人気なのは『花音』とか『僕と依千佳の365日』の方かな、私は個人に『蒼い魚』が一番好きだけど。」

私の答えに真奈美が頷く。

「あたしも『花音』か『蒼い魚』かな。」

『花音』は、監督の出世作で当時、無名だった主演女優も一緒に有名になった。
因みに『蒼い魚』は、『花音』より前の作品になる。

「生お待ち。」

飯田氏が監督のビールを持ってきた。

「では、改めて乾杯しますか。」

真奈美がグイと焼酎の入ったグラスを掲げたのでそれに習う。

「年末のお疲れ様と新たな縁に乾杯。」

四つのアルコールがチンと揺れた。

一つ分かった事。

基本、相澤家は真奈美が仕切っているんだろうな。
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