川之江くんは世話好き
「あー疲れたなー」
一通り荷物をほどき終わった僕は休憩がてら共同エリアの縁側で庭を眺めていた
それにしても、やっぱりここの雰囲気は好きだな
落ち着くっていうか、本を読みたくなるっていうか
「兎に角最高だー」
「何が最高なの?」
「え? ここの雰囲気ですよ…………って誰ですか!」
「? 貴方はだあれ?」
「…………」
「貴方はだあれ?」
「えっと、今日からここに暮らす川之江 薫です、けど」
「そう、興味ない」
「…………」
何だろうこの関わってはいけないオーラ丸出しの子は……
「えっと、君の名前は?」
「……じゃあね」
「…………」
えええええー!
無視!? いやでも無視っていうよりは本当に興味がないって感じが……変わらねえよ!
「はー……本当に変わった人ばっかりだなー」
「薫くーん、玲子さんがご飯できたってー」
「ああ、変態さん、あ、間違えました、本田さん」
「ああ、イイ! 薫くんのそれはやっぱりイイ! 特に言い切ってから訂正する所とかわざとでしょって感じで尚更イイ!」
「ははは、ほら行きますよ変態さん、僕まだこの家の中覚えてないんですから」
「そうだね! さっそく行こうか! お兄さんについてきて! 薫くん!」
「玲子さーん、薫くん連れてきたよー!」
「ありがとね、本田くん」
「そんなお礼なんていりませんよ、僕と玲子さんの仲じゃないですか」
あれ? 意外とまともな所もあるのかな? 本田さん
「でもー、もしどうしてもお礼がしたいと言うなら玲子さん! 僕を蹴って! あ、でも吊るしでもイイよ!」
はいはい、少しでも期待した僕がバカでした
「薫くんもう少し待ってね? もう来ると思うから」
「あ、はい、お気になさらず」
「ああ! 華麗にスルーする玲子さんもイイ!」
「……変態さんは変わりませんね」
「あっははー、そんなに褒めないでよー」
「はは、もうどうでもいいです」
"ガラッ"
「あ! 雫ちゃん! もー遅いよ? 皆待ってたんだからー」
「ごめん、本に夢中になってて」
「あ…………」
「ん? 何々? 薫くんもしかして知り合い?」
「違います」
即答……しかも、投げ飛ばされたのに……顔すら、覚えられて……
「ちょちょっと、どうしたのさ薫くん、急に落ち込んで!」
「いえ、何でもないです……」
「あら、しずちゃん来てたの?」
「うん」
「また本読んでたんでしょ?」
「新刊が入ってた、から……その、つい」
「もう、仕方ないわね、本田くんご飯運ぶの手伝って」
「はーい! 玲子さん、もっとこき使ってくれてもいいよー!」
「…………」
「…………」
沈黙がキツい…………
あ、本読み始めた
雫さんって言ったけ、背小さいし顔も小さいなー
あ、少し笑った、面白いシーンでもあったのかな
そういえば路地で会った時の格好僕と同じ学校の制服だったなあ、同学年では見たことないから先輩かな?
それにしてもさっき路地で会った時もだけど普段は感情を顔に出さないのかな? なんか可愛い
…………変態か! 何か変態みたいになってるぞ僕!
「……何?」
「へ?」
「こっちの方、見てたでしょ? それでいきなり頭抱えるから……やっぱり顔についてる?」
「え?」
やっぱり顔についてるって……?
あ、
「あの、先輩?」
「ん……」
「顔に」
「…………?」
「畳の跡がっ……ふっ」
「……わ、わわわわ、笑わなくてもいいじゃにゃい」
「にゃ、にゃいってっ……ぐっ……ふっ」
「も、もう!」
「ご、ごめんなさっ……ははっ」
「あらあら、しずちゃんとももう仲良くなったの?」
「なってない!」
「そ、そんなにひて、否定しなくてもっ……ぷぷっ……はっ」
「もう嫌だーーー! そんなに笑わなくてもいいでしょ!」
「いや、そんな事い、いわ、言われてもっ」
「もうー!」
先輩は僕をポコポコと叩いてくる
何、この可愛い生物!
「あらあら、本当に仲良くなっちゃって」
「ホントだね、本田だけに」
「本田さんは黙って!」
「ああ! 薫くんや玲子さんもイイけどやっぱり雫ちゃんもイイ!」
「あっはははは!」
「っもうー!」
「せ、先輩、う、牛じゃないんだからっ」
「もうっー!」
桜散り始めた四月
川之江荘で僕の新しい生活が始まる
一通り荷物をほどき終わった僕は休憩がてら共同エリアの縁側で庭を眺めていた
それにしても、やっぱりここの雰囲気は好きだな
落ち着くっていうか、本を読みたくなるっていうか
「兎に角最高だー」
「何が最高なの?」
「え? ここの雰囲気ですよ…………って誰ですか!」
「? 貴方はだあれ?」
「…………」
「貴方はだあれ?」
「えっと、今日からここに暮らす川之江 薫です、けど」
「そう、興味ない」
「…………」
何だろうこの関わってはいけないオーラ丸出しの子は……
「えっと、君の名前は?」
「……じゃあね」
「…………」
えええええー!
無視!? いやでも無視っていうよりは本当に興味がないって感じが……変わらねえよ!
「はー……本当に変わった人ばっかりだなー」
「薫くーん、玲子さんがご飯できたってー」
「ああ、変態さん、あ、間違えました、本田さん」
「ああ、イイ! 薫くんのそれはやっぱりイイ! 特に言い切ってから訂正する所とかわざとでしょって感じで尚更イイ!」
「ははは、ほら行きますよ変態さん、僕まだこの家の中覚えてないんですから」
「そうだね! さっそく行こうか! お兄さんについてきて! 薫くん!」
「玲子さーん、薫くん連れてきたよー!」
「ありがとね、本田くん」
「そんなお礼なんていりませんよ、僕と玲子さんの仲じゃないですか」
あれ? 意外とまともな所もあるのかな? 本田さん
「でもー、もしどうしてもお礼がしたいと言うなら玲子さん! 僕を蹴って! あ、でも吊るしでもイイよ!」
はいはい、少しでも期待した僕がバカでした
「薫くんもう少し待ってね? もう来ると思うから」
「あ、はい、お気になさらず」
「ああ! 華麗にスルーする玲子さんもイイ!」
「……変態さんは変わりませんね」
「あっははー、そんなに褒めないでよー」
「はは、もうどうでもいいです」
"ガラッ"
「あ! 雫ちゃん! もー遅いよ? 皆待ってたんだからー」
「ごめん、本に夢中になってて」
「あ…………」
「ん? 何々? 薫くんもしかして知り合い?」
「違います」
即答……しかも、投げ飛ばされたのに……顔すら、覚えられて……
「ちょちょっと、どうしたのさ薫くん、急に落ち込んで!」
「いえ、何でもないです……」
「あら、しずちゃん来てたの?」
「うん」
「また本読んでたんでしょ?」
「新刊が入ってた、から……その、つい」
「もう、仕方ないわね、本田くんご飯運ぶの手伝って」
「はーい! 玲子さん、もっとこき使ってくれてもいいよー!」
「…………」
「…………」
沈黙がキツい…………
あ、本読み始めた
雫さんって言ったけ、背小さいし顔も小さいなー
あ、少し笑った、面白いシーンでもあったのかな
そういえば路地で会った時の格好僕と同じ学校の制服だったなあ、同学年では見たことないから先輩かな?
それにしてもさっき路地で会った時もだけど普段は感情を顔に出さないのかな? なんか可愛い
…………変態か! 何か変態みたいになってるぞ僕!
「……何?」
「へ?」
「こっちの方、見てたでしょ? それでいきなり頭抱えるから……やっぱり顔についてる?」
「え?」
やっぱり顔についてるって……?
あ、
「あの、先輩?」
「ん……」
「顔に」
「…………?」
「畳の跡がっ……ふっ」
「……わ、わわわわ、笑わなくてもいいじゃにゃい」
「にゃ、にゃいってっ……ぐっ……ふっ」
「も、もう!」
「ご、ごめんなさっ……ははっ」
「あらあら、しずちゃんとももう仲良くなったの?」
「なってない!」
「そ、そんなにひて、否定しなくてもっ……ぷぷっ……はっ」
「もう嫌だーーー! そんなに笑わなくてもいいでしょ!」
「いや、そんな事い、いわ、言われてもっ」
「もうー!」
先輩は僕をポコポコと叩いてくる
何、この可愛い生物!
「あらあら、本当に仲良くなっちゃって」
「ホントだね、本田だけに」
「本田さんは黙って!」
「ああ! 薫くんや玲子さんもイイけどやっぱり雫ちゃんもイイ!」
「あっはははは!」
「っもうー!」
「せ、先輩、う、牛じゃないんだからっ」
「もうっー!」
桜散り始めた四月
川之江荘で僕の新しい生活が始まる