感染学校~死のウイルス~
☆☆☆

体育館の中、あたしは放心状態で壁にもたれて座っていた。


ついさっきまで一緒にいた福田先生が殺されてしまった。


福田先生を殺した男子生徒は体育館に運ばれ、マットの上に寝かされている。


その寝顔を見ていることもつらくて、あたしは視線を逸らせた。


「先生たち、福田先生の死体を職員室に移動してるんだって」


空音がペットボトルの水をあたしに差し出して、そう言った。


あたしはそれを受け取り、一口飲んだ。


緊張しているからか、喉はずっと乾いている状態だ。


「廊下はアラタ先輩と祐矢先輩の2人が掃除してくれてる」


「え……?」


空音の言葉にあたしはようやく反応を示す事ができた。


「あの2人、実は仲良しなのかもね」


空音がほほ笑んでそう言った。


犬猿の仲で有名な2人が協力して掃除をしているというのが、あたしには想像できなかった。


だけど、こんな状況だからこそ本来の関係を取り戻す事ができているのかもしれない。
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