感染学校~死のウイルス~
「愛莉、そろそろ行こう?」


パンを食べ終えた空音がそう言い、立ち上がる。


あまりここに長居していたくないんだろう。


「ちょっと待って。食料を少しだけ移動しておこう」


死体が寝かされている事に気が付けば、ここに誰かが踏み入れたのだと気が付くだろう。


そうなると食料を分けてもらえなくなるかもしれない。


すでに情緒や法律といったものが崩壊しているような人間相手じゃ、真面な交渉もできなさそうだ。


あたしと空音は袋にパンをつめて食堂を後にした。


生徒玄関の掃除ロッカーの中にそれを入れる。


ここなら誰も確認しないだろう。


いざとなれば、食べ物を持っていない生徒に分けてあげる事もできる。


少しだけ安堵して、あたしたちは体育館へと戻ったのだった。
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