感染学校~死のウイルス~
☆☆☆

体育館に戻るとみんながバラバラに座っていることに気が付いた。


昨日までは肩を寄せって隣り合って座っていた子たちも、今は違う。


互いに目をギラつかせてにらみ合っている。


きっと、食べ物を奪い合ったからだ。


今は協力し合わないといけないのに、みんなの心は完全にバラバラになってしまっていた。


「2人とも、どこに行っていたの!?」


森本先生が心配していた様子でそう声をかけて来た。


「トイレにいってました」


あたしはたどたどしく返事をする。


森本先生に嘘をつくのは心が痛かったけれど、今は本当の事を伝えるわけにいなかなかった。


「そう……」


森本先生は生徒の嘘を見抜く余裕もないのか、すぐにあたしと空音から視線を外した。


「辻本先生はまだ戻ってきてないんですか?」


「そうね。アラタ君と祐矢君もまだなのよ」


森本先生がそう返事をしてくれた。


体育館の時計で時間を確認すると、もう11時が来そうだ。


3人が体育館を出てから2時間は経過している。


校内の探すのにそんなに時間がかかるだろうか?
< 131 / 284 >

この作品をシェア

pagetop