感染学校~死のウイルス~
ここに来た誰かが食べられそうなものは持って行ってしまったのだろう。


そうとわかると、あたしは肩を落とした。


「生徒玄関の掃除入れにパンを移動しています。でも、それもすぐになくなっちゃう……」


空音がそう言った時だった、祐矢先輩は何も言わず空のペットボトルを手に取った。


「なにすんだよ」


アラタ先輩が聞く。


「水道水を確保しておく。あと塩もだ」


そう言われて、あたしは調味料へと視線を向けた。


塩や砂糖といった類の物も、すべて残されていることがわかった。


「そっか。すぐに食べられなくても水分と塩分をとることができれば違う。それに砂糖も残されてる!」


そう言い、重たい砂糖と塩を両手に持った。


アラタ先輩が購買のレジから大きな袋を持って来てくれた。


「あとはパンが残ってるんだろ? しばらくはそれでしのぐしかないけど、校内には何か所か自販機もある。


それに先生の宿直室や職員室、部室や教室を探せばちょっとした食べ物はあるはずだ」


ペットボトルにいっぱい水を入れて、祐矢先輩はそう言ったのだった。
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