感染学校~死のウイルス~
少し険悪なムードになってしまったけれど、別に喧嘩をしているようでもなさそうだ。


「ついた」


アラタ先輩が食堂の前で立ちどまった。


中に誰もいないのを確認してそっと足を踏み入れる。


広い食堂の中には、感染した女子生徒の遺体がそのままになって残されていた。


あれから誰も入っていないのかもしれない。


あたしたちは死体を横切り、調理室へと足を踏み入れた。


瞬間、食べ物があちこちに散らばっている光景が目に入った。


「誰かが食べてる」


アラタ先輩がそう言い、ため息を吐き出した。


「やっぱり、そうだよな」


祐矢先輩は比較的落ち着いている様子でそう言った。


「なんだよお前、やけに冷静だな」


そう言うアラタ先輩の体を押しのけて、祐矢先輩は戸だなを開けた。


中には調味料が沢山ならんでいる。


次に冷蔵庫を開けると、食材はほとんど残されていなかった。
< 202 / 284 >

この作品をシェア

pagetop