感染学校~死のウイルス~
だけど、アラタ先輩はそれを受け取らなかった。


ペットボトルを見て恐怖に顔をゆがめている。


「拳銃だ! お前、なんで拳銃なんて持ってんだよ!!」


祐矢先輩へ向かってそう叫び、勢いよく走り出す。


あっ……と、思う暇もなかった。


アラタ先輩は音楽室から出ると、何も持たないまま校舎内へと走って消えてしまったのだ。


「先生!」


あたしは咄嗟に振り向いて辻本先生を見た。


「全く、世話のやけるやつだな」


辻本先生はそう言いながら立ち上がる。


「俺も一緒に探しに行きます。あんな大声を出して学校を歩き回ってたら、感染者に見つかる」


祐矢先輩はしかめっ面をしてそう言ったのだった。
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