感染学校~死のウイルス~
その言葉にあたしは思わず背筋を伸ばしていた。


これから聞く先生の言葉が真実なのだと、そこから逃げてはいけないのだと、自分に言い聞かせた。


「昨日の放課後、1年D組の渋田咲さんが亡くなられた」


『自殺』という言葉を使わなかったのは、先生なりの配慮だろう。


「突然のことで先生もどうしていいかわからない状態だ。


混乱しているし、ショックで頭の中は真っ白だ。だけど、これから全校集会が開かれるから、そこでしっかり話を聞いて、そしてみんなで考えようと思う」


時々目を伏せながらも、辻本先生はそう言った。


もっとしっかりしたことが言えないのかと反感をかいそうな説明だったけれど、生徒たちと同じように先生も混乱しているのだと知って、あたしは安心していた。


こういう時に義務的な事を言われるよりは、ずっとマシだった。
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