感染学校~死のウイルス~
ホッとしてほほ笑む。


あたしは森本先生と一緒に別館1階にあるトイレを確認しに進んだ。


電気はついているけれど、この状況でトイレに入るのは少し勇気必要だった。


「水は出るのね」


森本先生が水道をひねって水が出る事を確認した。


しかし、その表情は硬い。


「そういえば、感染した生徒たちはどうして学校に来たんでしょう? みんな体調を崩していたのに登校してくるのって変ですよね?」


トイレの個室を1つずつ調べながらあたしはそう聞いた。


「あぁ、それはね……」


森本先生があたしを見る。


「自分の家族を殺したいと思う?」


「え……?」


「自分の家族に感染させたいと思う?」


続けざまに質問されてあたしは慌てて「いいえ」と、首を振った。


そんなこと思うワケがない。


「でしょう? きっと、感染していた彼らも同じ気持ちだったと思うわ。


たとえ自分がどんなウイルスに犯されているかわからなくても、予感みたいなのがあったんじゃないかと思うの」


「予感、ですか……?」


「えぇ。『今日は何か起きそうだなぁ』とか、そういう予感が的中したことってない?」


そう聞かれて、あたしは「あっ」と声に出していた。
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