秘めた想いが実るとき

「唯香さん、結婚式どうでした?」

「んー、すごいよかったよ。花嫁の手紙の時に思わずもらい泣きしちゃった」

ご飯を食べながら先日行ったミヤの結婚式を思い出す。

ミヤとは小学生の頃からの付き合いで、ご両親とも顔見知り。
だから余計に感情移入して、事あるごとに涙していた。

スライドを見て、両親の愛情たっぷり受けて育ったんだなとか、友達なのに親目線でミヤのことを考えたり。
泣きすぎてメイクが崩れてしまい、隣の席に座ってた友達に笑われ、慌ててメイク直しに行ったんだ。

毎回、結婚式に行って思うことは、私は自分の親にウェディングドレス姿を見せてあげれるのかなということ。
でも、自分のそんな姿は全く想像が出来ないんだけど。


「そうなんですね。私も挨拶とか考えなきゃ」

ふふ、と幸せそうな微笑みを浮かべるのは歯科助手の桜田美優。

確か、今年で二十六歳になったはず。
そして、半年後に結婚式を控えている。

結婚してもしばらくは辞めずに働くみたいだけど。

「美優ちゃん、結婚式の準備は進んでるの?」

「はい。今度の日曜に衣装合わせに行くんです」

嬉しそうに話すのを聞いて羨ましくなる。
私にはそんな予定はないからね!ってひがみっぽくなっている自分にため息が出る。

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