派遣社員の秘め事 ~秘めるつもりはないんですが~
「蓮、空いてる日があったら、すぐ結婚しようと思うんだが」
突然そんなことを言い出した渚を蓮は振り返る。
「どうしたんですか? 急に」
「なんか嫌な予感がするからだ」
……さすが、野生に近い人はなにかが違うな。
すごい勘だ、と蓮は思った。
玄関からベッドのヘッドボードのところに持ってきて飾っていたティアラを手に取り、渚は蓮の頭にそれを乗せてみる。
「ちょっと間抜けだが、可愛いな」
と言うので、
「間抜けだと思うのなら、やめてくださいよ、もう~」
と外す。
「籍だけすぐに入れるという手もあるが、一応、周りに断らないと、あとで揉めそうだしな」
そう。
その周りが問題なんだよな、と思っていると、
「大丈夫か? お前。
戸籍を調べてみたら、勝手に結婚させられてたりとかしてしないか?」
と言ってくる。
「なんてありえそうな恐ろしいことを言ってくるんですか……」
そう言う渚に、やっぱり、和博さんのこと、知ってるのかな、と思った。