派遣社員の秘め事 ~秘めるつもりはないんですが~
仕事終わりに、また社食に行ったが、渚は居なかった。
代わりに、営業の人たちが、珈琲を飲みながら、なにか打ち合わせていたので、軽く頭を下げる。
アイスの自動販売機の前に立ち、どれにしようかな? と悩む。
渚に買ってもらった……いや、金は返せと言われているが……、アイスは、まだ冷凍庫の中だが。
なんだか一日一個、違うアイスを、という決まりが自分の中で出来ているので、なんとなく新しいのを買いに来てしまったのだ。
もし、渚が居たら、お金を返そうかなと思ったのもある。
……なんか、財布持ってるときには現れないな、あの人、と思いながら、階段で一人アイスを食べ、会社を出た。
前の会社じゃ、十時に帰ることもザラだったので、なんだか時間を持て余してしまう。
会社の周りでショッピングをすることにした。
夕日を見ながら、昔は明るいうちに帰ってみたいとか思ってたけど、なんか寂しいもんだな、とぼんやり思う。
お金もないのに、つい服を買ってしまった。
その服の入った無駄に大きな紙袋を手に、会社の近くのコンビニに行くと、熱心にスイーツを眺めている男が居た。
一際大きいので目につく。
脇田だ。