派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~
 なんだろう。
 果物がゴロゴロ入ったゼリーを見てるけど、好きなのかな。

 思わず、笑いそうになったとき、脇田が振り向いた。

「あれ? 秋津さん、買い物?」

「はい。
 ちょっと暇を持て余して、ウロウロしてたら疲れちゃって。
 晩ご飯はコンビニ弁当で済ませちゃおうかと」
と言うと、

「暇なのに?」
と笑われる。

 まったくだ。
 本末転倒とはこのことだ。

 はは、と笑い、弁当を買って、コンビニを出ようとしたとき、ちょうど、他のレジで会計を済ませた脇田が追ってきた。

「そうだ、秋津さん」
と言ったとき、頭の上がふっと暗くなった。

 脇田が上を向いて、何かを受け止める。

 が、あつっ、と言って、それを離した。

 一瞬、手を離れたそれを脇田は受け止めようとしたが、長かったので、端が地面に打ち付けられた。

「いてっ」

「脇田さんっ」

 蛍光灯が割れて散らばっている。

 お店の若い店員が慌てて駆け出してきた。
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