派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~
 



「じゃあ、すみません。
 ありがとうございました」
とスタッフルームを出るとき、脇田が仲間に頭を下げる。

「いやいや。
 こっちが悪かったんだから。

 また店長から、連絡させてもらいますね」
と言うのを脇田は断った。

「たいした傷じゃありませんから」

「いやいや、お得意さんに怪我させちゃね」

 いつも見かけるイケメンだから覚えてる、と仲間は豪快に笑って言った。

 スタッフルームの外に居た、蛍光灯をつけたという女の子と脇田が話し始めたので、蓮は仲間に頭を下げ、出て行こうとした。

「ああ、待って。
 これ、彼氏が忘れてるよ」
と仲間が小さなビニール袋を渡してくる。

 いや、彼氏じゃないんですけど、と思いながら、その袋を受け取った。

「大丈夫かい? それ」
と仲間が気遣ってくれたので、中をチラと確認した。

「大丈夫です」
と微笑む。

「ありがとうございました」
と頭を下げ、脇田と店を出た。





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