派遣社員の秘め事 ~秘めるつもりはないんですが~
「脇田さん、すみませんでした」
店の外で蓮は脇田に謝った。
「なんで、秋津さんが謝るの?」
「いや、あれ、私の頭の上に落ちてくるところだったんですよね」
「でも、蛍光灯つけたの、君じゃないじゃない」
足を止め、
「実は、もうひとつ、謝ることが」
と言った蓮は、忙しげなコンビニの中を確認すると、脇田の袖を引いて、離れたところまで連れていく。
あのビニール袋を広げて見せた。
脇田の買った果物ゴロゴロのゼリーに小さいが細長いガラスの破片が刺さっていた。
「大丈夫? って訊かれたんですけど。
あんなに謝っていただいたので、なんだかもう申し訳なくて、言えなかったんです。
すみません。
脇田さんのゼリーなのに」
「ああ、いや、いいよ。
そうだね。
確かこれ、最後の一個だったから、換えもきかないし、きっとまた気にするよね」
いいよ、と脇田は言ってくれた。
実は蓮もこれが最後の一個なのは見ていたのだ。