派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~
「え」

「いきなり、子供を作るってのが駄目なんだろ、お前は」

 いや……誰でも駄目だと思いますけどね。

「だから、とりあえず、デートしよう」
と渚は言う。

 まあ、少しはマシな展開か? と思っていると、
「今日はちょっと遅くなりそうだが。

 ……いや、明日も遅いな」

 少し考えたあとで、渚は、
「お前の家を教えろ」
 遅くなりそうだから、と言ってくる。

「嫌ですよっ」

 その話の展開だと、嫌な予感しかしないではないか。

「そもそも、貴方、何処の部署の人なんですか。
 私、総務に居るんですけど、全然会いませんけどっ」
と言うと、渚はこちらを見下ろし、

「俺の子供を産んでくれるのなら、何処の部署か教えてやる」
と言ってくる。

 いや……なに言ってんですか。

 この照りつける日差しのせいだけではなく、目眩がしてきたので、そろそろ帰りたい。

「そういえば、お前、電話して来なかったな」

 せっかく番号教えてやったのに、と恩着せがましく渚は言う。

「昨日、蛍光灯が落ちてきたりして、ちょっと。
 すみませんでした」
< 43 / 383 >

この作品をシェア

pagetop