派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~
「まあ、これで、あったかいものでも食べろ」

「……アイスですよね、私がこの金額で買ったのは」

 定番のセリフだが、今はおかしいだろう、と思っていた。

「蓮」

 やっと名前覚えてくれましたね、と思っていると、
「ところで、いつが暇だ?」
と渚は訊いてくる。

「は?」

「いや、本当に時間がないんだ」
と困った顔をする。

「初対面で子供を作れと言っても、さすがに無理かと思って、今まで待ってたんだ。

 お前とは、もう三度は会っている。
 吉原なら、もういい頃だ」

 吉原では、三度会わないと、共寝できないそうだが。

 いや、此処は吉原ではないし、私は遊女ではない。

 だが、どうやら、急いで子孫が居るのは本当のようだった。

「あのー、隠し子とかどっか居ないんですか?」
とおもわず訊いてしまうと、

「なんで、隠し子だ。
 俺は独身だ。
 隠す理由はない」
と言う。

 いや、まあ、そりゃそうなんでしょうけどね、と思っていると、渚は、
「じゃあ、デートしよう」
と言ってきた。
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