派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~
「いや、俺とデートしろと言ってきました」

「……段々要求がショボくなってきてるね、その色情霊」

「色情霊っていうか。

 襲いかかってくるんじゃなくて。

 理路整然と迫ってくるんです。
 骨盤の大きさがどうとか、体格がどうとか」

 ああ、と脇田は笑った。

「大変だね」
と含むところがあるように言う。

「あっ、呼び止めてすみませんでした。
 じゃあ、失礼します」
と頭を下げると、

「じゃあね」
と脇田はにこやかに手を振ってくれた。

 言葉だけで、穢されそうな男にあっただけに、和むな、と思いながら、蓮は微笑んで、もう一度頭を下げ、警備員室へと向かう。



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