派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~





「蓮、チャイムが鳴ってる」

「そうね」
と言ったあとで蓮は気づいた。

 慌てて、インターフォンの前に走る。

 やはり、渚だった。

 顔を近づけ、覗いてくる未来が、
「嘘っ。彼氏?
 いい男じゃんっ」
と言いながら、いきなり、インターフォンの画面をスマホで撮影し、何処かへ送ろうとする。

「ちょっと未来っ、なにやってんのっ!」
「送るんだよ、おばさんに」

 報告しろって言われてるもん、と言う未来に、

「彼氏じゃないって。
 彼氏っていうより……」
と言うと、

「言うより?」
と訊き返される。

「……ストーカー?」

「じゃあ、警察に送るよ」
とやはり何処かへ送信しようとする。

 待って、とその手を止めると、未来がにやりと笑う。

「やっぱり彼氏なんじゃん」

 明日はご馳走持ってくるね、彼氏の分も、と未来は言った。

「いいからっ。
 忙しい人だから、そんなに来られないしっ。

 第一、ほんとに彼氏じゃないのよ~っ」
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