愛し、愛されたのは優しい死神でした。

ちょっと口の悪い死神が口にした、その言葉に私は力無く頷いた。
弟の死神が私の言葉の続きを言って黙り、
今度は兄の死神が小さくため息をついて口を開く。

「……貴方は自害した者の行く末をご存じですか―?」

『…解らない…』

そんなの解る訳ないじゃない。
恨めしそうに彼を見上げると目が合った気がした。
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