愛し、愛されたのは優しい死神でした。

―岳が律さんに頼まれてキッチンに珈琲豆を取りに来たあの日の出来事―

探し物をしている時に思いきって聞いてみた。

『ねぇ岳っ…ちょっと聞きたい事があるんだけど…』

「お?何っどうしたの?悩み事?」

キッチンをうろうろしたり座り込んだりして忙しそうに動き回っているけど、口調は穏やかで優しかった。

『あの…恋すると、どんな気持ちになるの…?』

「へっ?!」

この言葉を発した時、ピタりと動きが止まった。

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