愛し、愛されたのは優しい死神でした。

今の思考回路に思わずハッとした。首を横に振ってさっきの考えを打ち消す。

小さく息を吐いて、膝の上に丸まっている猫を見下ろすと
何か様子がおかしい事に気が付いた。猫が………

『…っ…笑って…る…!?』

口に出すと猫は更に口角を上げてニタニタと気味悪く笑っている。牙は長く伸び口元も深く裂け、大きく見開かれた血走った目で私を見上げていた。

その光景に恐怖を感じて逃げようとするも体が金縛りにあった時の様に動かない―!!

どうしたらいい?!逃げたいのにっ―!!
逃げなきゃ…逃げなきゃ…!!早くこの場から―!
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