グリーン・デイ





 風呂場から高い声で「イッツ・マイ・ライフ」が聴こえてくるこの場所が、新歓バーベキュー・パーティーへ向かうまでと同じ場所だなんてとてもじゃないが思えない。ボン・ジョビは僕も聴くし、アヤカが電車で聴いていたグリーン・デイも聴く。とことん音楽の趣味が合うのだ。それにもかかわらず、アヤカはギターを弾けない。リコーダーもピアニカすらもろくに弾けない。僕からしたら変わっているなと思う。憧れたら自分もやってみたくなるという衝動がどうやらアヤカにはないようだ。



 アヤカはシャワーの水を止め、びしょ濡れのまま裸で風呂場から出てきた。僕は慌ててカラーボックスから比較的綺麗なバスタオルを引っ張り出し、アヤカに投げつけた。



「バスタオルがなかったとはいえ、なんで堂々と裸で出てこれるんだ!」



「好きだからよ。好きな人にはすべてを知ってもらいたいもの。私の身体の構造がどうなってるかまでね。もちろん内面も知ってほしいわよ? でも、第一印象を決めるのは、大体容姿から入るでしょ?」



 頭が混乱しそうだった。確かにアヤカの身体の構造は少し把握できたが、普通じゃない。いや、そもそも付き合ってもいない、好きでもない女とこうして一緒に暮らそうとしている方が普通じゃないかもしれない。



 それなら僕はこの先、アヤカに対してどう接していけばいいのだろうか。友達としては情報量が少ないし、かといって恋人になるには早い。姉や妹とは、また違うし、従姉妹なんてもっての外だ。




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